A-Life News

2021.07.02

A-Life 通信 vol.013 たかが転倒、されど転倒 

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1) たかが転倒、されど転倒、転倒は恐ろしい!

 

2) “転倒”で多額の賠償事故になる事も!?

 

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 1)たかが転倒、されど転倒、転倒は恐ろしい!
「骨折して寝込んだと思ったら、あれよあれよという間に亡くなった」高齢
化社会の進展で、転倒事故のリスクが年々高まっておます。すでに統計的に
は、交通事故の2倍の件数が生じているとのこと。(浴場での転倒など、家
庭内での事故も多くあるそうです。)

ちなみに、1年間で転倒で死亡される方の数をご存知ですか?

厚労省の人口動態統計によれば、2018年の「転倒、転落、墜落」の死亡者数
は実に9645人。(交通事故の死亡者数が4595人)という事は、1日平均約26
人の方が亡くなられている
ということになります。

日本転倒予防学会によれば、高齢者の3人に1人は年に1回以上の転倒を経
験するとされます。また東京消防庁によりますと、2018年、転倒で緊急搬送
された高
齢者の数は約5.8万人うち6割が自宅での転倒だったそうです。

予想以上に“転倒事故”は社会問題になりつつあります。

 

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2)“転倒”で多額の賠償事故になる事も!?
特に高齢者が転倒事故を起こすと、治療に長い時間を要すこともあり、賠償
金も高くなりがちです。下記に実際の事故判例を見てみましょう。

 

【転倒事故判例】

事例① 駅ビルで転倒、骨折2,200万円の賠償命令】
JR池袋駅ビル7階通路で、主婦(69歳)が転倒。左足を骨折。左股関節の機
能を失う後遺症が残り、駅ビル会社【池袋Tビル】を告訴。東京地裁は「転
倒事故は床に油や水などが付着し、滑りやすくなっていたことが原因」とし
て、駅ビル会社に2,200万円の支払いを命じました。

 

【事例② プールの廊下で転倒事故、原告勝訴】
50代の女性が水溜りがあったプールの廊下で転倒。左手首を骨折する。施設
側は事故当時、施設各所に足拭きマットを置き、係員が1時間おきに清掃を行
い、踊り場には身体を拭くように促す注意書きを掲示していた。にも関らず、
裁判所は床面に有効な滑り止め措置が執られていないという理由で施設側に
瑕疵があるとして、損害賠償支払いを命じました。

 

【事例③ アイスクリーム売り場前で転倒事故、860万円の賠償命令】
71歳の女性がショッピングセンター内でカートを押しながら歩いていたとこ
ろ、アイスクリーム売場前の通路に落ちていたアイスクリームで滑って転倒。
右大腿骨と第二腰椎を骨折。下肢の関節機能に障害が残り、女性はショッピ
ングセンターの運営者を告訴。裁判所はショッピングセンターに対して、
客の安全を図る義務があるにも関
わらずその義務を尽くさなかったとし、
法行為に基づく損害賠償として約860万円
の支払いを命じました。

 

【事例④ コンビニエンスストアで転倒事故、115万円賠償命令】
大阪市内のコンビニエンスストアで、東大阪市在住20代の女性が買い物中に
濡れた床で転倒、左腕を負傷する。女性側が慰謝料など1千万円の支払いを求
めた裁判で、大阪高裁は「から拭きするなど、客が転ばないよう指導する義務
があった」と115万円余りの支払いを命じました。

賠償金額はその状況によってまちまちですが、床が濡れているのを放置してい
たりすると安全配慮義務違反となる可能性もあります。

最後の事例の裁判では、(コンビニエンスストアには)多様なお客様が来る(例
えば、滑りやすいサンダルを履いてくるお客様や酩酊しているようなお客様)
ことを念頭に入れて安全対策をしないと、安全配慮義務違反を尽くしたとは言
えないとされています。これは、事業者さまにとってはなかなか厳しい言葉です。

たかが転倒、されど転倒、、、。

梅雨本番、通常よりも雨で床が滑りやすくなる季節です。
皆様、くれぐれもご注意を!