A-Life News

2016.06.22

高額療養費制度をご存知ですか?

高額療養費制度とは

 「高額療養費制度」をご存知でしょうか?この制度は、健康保険に加入の方が医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合にその超えた金額を支給する制度です。
ただし、入院時の食事負担や差額ベッド代、先進医療の費用等は含まれませんので、その点ご注意ください。

 

医療費の考え方

 私たちが風邪をひいて初診の病院に行った場合、かかる負担金額は大体3千円ぐらいまでではないでしょうか?

 窓口で払った負担金額が3割負担の3千円ならば、実際の医療費は約1万円ということになります。もしも、ガン・脳卒中・心臓病などの重い病気で入院した場合の医療費は、50万円~200万円ほどかかります。手術を伴った場合やガンなどで放射線治療を行った場合には、さらに高くなります。しかし、自己負担額は3割ですから、

医療費が 50万円ならば、自己負担額15万円
医療費が100万円ならば、自己負担額30万円
医療費が150万円ならば、自己負担額45万円

 ということになります。これが一般的な3割負担での自己負担医療費になります。

 

高額療養費制度を利用した場合の医療費

 それでは、実際に高額療養費制度を利用した場合の医療費の計算方法を見てみましょう。

 下図は、弊社営業部の西田より今回のA-life News作成に伴い提供いただきました。

 5日間の入院を伴う手術をした時の領収書です。医療費の領収書は、点数での表記になり、1点=10円で計算します。今回は51,421点となっており純粋な医療費は514,210円となります。先に説明いたしました3割負担で計算すると自己負担額は、514,210円×3割=154,263円となります。そして、今回ご紹介しております高額療養費制度を適用すると、85,562円になります。

高額療養費制度の計算方法

 高額療養費制度を利用すると上記の例で、68,701円負担額が減ります。

 それでは、実際の計算方法を見てみましょう。

  80,100円 + (514,210円 – 267,000円) × 1% = 82,572円
82,572円 + 2,990円(食事代などの保険外費用)= 85,562円となります。

 つまり、かかった医療費から267,000円を引いた残り部分は3割負担ではなく、1%負担で済んだということです。これほど大幅に負担額を軽減できる制度ですので、一部制限がございますので次の表でご確認ください。

 

高額療養費制度の適用要件

 高額療養費制度には自己負担の上限額がございます。加入者が70歳以上かどうかや、加入者の所得水準によって分けられます。詳しくは下記の表をご参照下さい

<70歳未満の方の場合>

<70歳以上の方の場合>

  上記以外にも高額療養費制度では、「世帯合算」や「多数回該当」といった仕組みにより、さらに最終的な自己負担額が軽減されます。厚生労働省のホームページより詳細の情報を確認することができますので、参考にして頂ければと思います。

 ここまでで、高額療養費制度という制度の概要は理解いただけたかと思います。しかし、こちらの制度は74歳未満の方は自動で適応される制度では無い点に注意してください。75歳以上の方も払い戻し口座の申請をしないとこの制度が適用されませんのでご注意ください。次ページにて申請方法についてご説明します。

 

高額療養費制度の申請方法

 高額療養費制度の申請方法は年齢や健康保険の種類によって異なりますが、今回は一般的な国民健康保険の場合を見てみましょう。

 まず、市役所の国民健康保険課で「所得区分の認定証」を発行してもらいます。この認定証を病院に提出すれば手続きは終了です。入院時に手付金を払う際に提出した場合は退院時の精算でこの制度が適応された金額を支払う。事前手配がない場合は、一旦3割負担分を窓口で払った後に、手続きをして約3ヵ月後に差額が戻ってきます。手続きのタイミングによっては一度3割分を支払う必要があるので注意が必要してください。

 

留意点

 最後に、この制度の留意点をお伝えいたします。結論から言うと計画的な入院で且つ1ヵ月以内の入院ならば「月初に入院して、月末までに退院がベスト!!」ということです。

 例えば、入院が月をまたいでしまうと前月までの医療費と今月の医療で別計算となります。つまり、同じ5日間の入院でも月をまたいでしまうと、この制度の恩恵を受けられない可能性があります。以上の点に注意して入院すれば高額療養費制度の恩恵をより多く受けることが出来ます。緊急の入院などは別として短期入院の場合は病院、主治医と相談の上出来るだけ入院した月の間に退院できるようであれば経済的には助かるかと思います。

 誰でも病気やケガでの入院のリスクはあります。入院による肉体的、精神的、経済的な負担を少しでも軽減できるよう国の制度をしっかり理解するとともに、万が一の為に医療保険などで備えることで万全な状態で病気と闘えるよう備えていきましょう。