A-Life News

2016.06.23

自転車の事故が増加している事ご存知ですか?

エコでハートフルな乗り物「自転車」

 近年、エコ意識の向上などで自転車に注目が集まっています。子供や主婦が乗っているイメージが強い自転車ですが、街乗りに特化したスポーツタイプのクロスバイクや、車輪が小さくかわいい見た目のミニベロなどの一般化によって移動手段としてだけではなく運動不足解消、またファッションの一部として年齢性別問わず人気が上昇し人口は増加傾向にあります。しかし、人気が集まる一方で、事故の増加が問題となっています。

 

改正・道路交通法

 事故の増加を受けて2013年12月1日より道路交通法が改正され「軽車両の路側帯通行に関する規定の整備」*1が行われました。この改正で、自転車等の軽車両が通行できる路側帯は、道路の左側部分に設けられた路側帯に限ることとされました。 路側帯の右側通行をした場合は、通行区分違反として、3ヵ月以下の懲役又は5万円以下の罰金となり、明確な罰則規定が制定されました。この改正により明確に自転車の走れる場所が明記されたので、改正法の条項を逸脱する運転により発生させた自転車事故では被害の大きさにより高額な賠償金を支払わなくてはならない場合が発生します。この賠償責任は、未成年といえども責任を免れることはできません。

 実際に2013年神戸地裁で、男子小学生が夜間に自転車で帰宅途中、歩道と車道の区別のない道路で歩行中の女性と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態になった事故で…

9,521万円の賠償責任が課せられました。

 このような高額な賠償責任がなされた内訳としては以下となります。

①将来の介護医療費用として約3,940万円。
②事故で得ることのできなかった逸失利益として約2,190万円。
③ケガの後遺症に対する慰謝料として約2,800万円。
④その他治療費用として約590万円。

 ①について、女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。②専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間得られなかったなどとして計算し、これらに治療費などを加え、事故を起こした子供の母親に対し、被害女性側へ約3,500万円、被害女性加入の保険会社が事故により支払った保険金の代位求償(簡単に言えば回収)について約6,000万円の支払いを命じました。

 今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価されております。

 どんなに注意していても、いつ起こるかわからないのが交通事故です。このような判例を目にするとどのように備えれば良いかが気にかかります。

自転車は自動車の自賠責保険のように被害者救済の強制加入保険がない為、万一の備えは各自に任せられています。事故を起こしてしまった場合に備える保険はどのようなものがあるのでしょうか?

 

万一の備えとして必要な保障は?

 自転車事故による損害賠償責任は「個人賠償責任保険」で補償され、自分自身のケガは「傷害保険」「医療保険」でそれぞれ保障されます。個人賠償責任保険は、傷害保険、火災保険、自動車保険などの特約としてセットすることが一般的ですが、特約の名称は保険会社ごとに異なる場合があるほか、保険会社によっては取扱っていない場合があるのでこの機会にご自身の保険証券をチェックしてみてはいかがでしょうか?

 

また、新たな保険への加入をご検討される場合は、自転車を乗用される方またはそのご家族が既に補償内容が同種の保険契約に加入されていますと、補償の重複が生じることがありますので、保険金額、被保険者などの補償内容を十分に確認しましょう。

 不明点等がございましたら、現在加入中の保険の内容を確認、分析(見える化)し、ご説明させて頂いておりますので、お気軽に弊社(下段に連絡先を案内しております。)まで、ご連絡くださいませ。

 手軽な移動手段として手軽で便利でエコロジーしかも健康的な自転車ですが、一歩間違えば重大事故につながり思いもよらぬ高額な賠償責任が発生するということも正しく認識してリスクに備えて安全な運転を心がけてください。

 

2015年6月改正道交法で禁止された「自転車の危険走行」

 平成27年6月1日から適用される道路交通法改正では、自転車の運転による危険を防止するため『自転車運転者講習』制度が定められました。今回の改正では、一定の危険な違反行為を3年以内に2回以上反復して行って摘発された、14歳以上の自転車の運転者に対して、公安委員会の命令を受け、指定された期間以内に3時間の講習(受講手数料5,700円)を受けるか、5万円以下の罰金を支払うことになります。今回の改正で危険行為とされた項目は以下の通りです。

https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/pdf/kousyu_leaflet02.pdf

 

 今回の改正で明確な罰則規定も設定されましたので、「意識してなかった」「知らなかった」では済まなくなりました。みなさんも危険行為を正しく理解し、十分にお気を付けください。

*1軽車両の路側帯通行に関する規定の整備
http://www.jtsa.or.jp/new/koutsuhou-kaisei.html